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数分後。
私たちの知らない場所で、思いもしない出来事が起こっていた。

それが後の私たちに、新たな展開の呼び水になるとはこの時は誰も知らない。



「――なんだよ、お前ら」



暗がりの中、ひとりの男の周りを固めるように様に数人の男達が囲む。

囲まれた男は、腰を抜かしたのか地べたに座り込み、血の気の引いた顔で何も言わない彼らを、震えながら見上げている。

そして、じわりじわりと壁際に追い詰められ、とうとう背中が壁に当たってしまった。



「か、か、金ならやるから。い、命だけは勘弁してくれ」



カチカチ歯を鳴らせながら、財布を彼らの目の前に投げ捨てる。
けれど彼らは散らばった財布の中身には目をくれず、更に男に近づいていく。

そして、その中のリーダー的存在の男が彼の耳元で囁いた。



「……を……ものに……ないか?」



思いも寄らない男の言葉に目を見開き、見上げる彼。
けれど次の瞬間には、歪んだ笑みを浮かべていた。