愛しのカレはV(ヴィジュアル)系

「遅くなってすみません。」

化粧直しを済ませ、私達は席に戻った。



「そろそろCLOWNの出番だと思うよ。」

「このバンドの次じゃないかな。」

ステージでは、けっこうカッコいいヴォーカルさんが歌ってた。
キャッチーでノリの良い曲だ。



「じゃあ、またな!
みんな、最後まで楽しんでくれよ!」

「あっ!」

ギターの人の投げたピックがたまたま私の前に飛んで来て、私は反射的にキャッチしてしまった。



「良かったね。」

「うん、そうだね。」

なんていうバンドなのかも知らないけど、こんなことは初めてだったからちょっと嬉しい。



「さぁ、次かなぁ…」

本当に長かった…すごく待ってただけに、なんだかいつもよりドキドキする。



「あ、キラさん!さっき、芝生のところでキースさんに会ったんですよ!」

さゆみが突然話し始めた。



「え?キースが?なんでそんなところにいたの?」

「なんか向井さんとかいう人を探してたみたいで…」

「へぇ…もうメイクとかしてた?」

「いえ、すっぴんでしたよ。」

「そうなの?間に合うのかな?」

そんなやりとりをしていたら、SEが流れ始めた。
少し離れたところで女の子達の歓声が上がり、一斉に席から立ち上がった。
違う…それはCLOWNのSEじゃなかった。



「あ、次はロシアンだよ!」

ハルさんがそう言ったのと同時に、知らないメンバーがステージに出てきた。
かなり人気のあるバンドみたいで、今までのバンドとは歓声が全然違う。
なんかメイクも衣装もすっごく華やかだ。
メイド服を着たお人形さんみたいに可愛いメンバーさんもいる。
見た目からしても、人気があるのが頷けた。