小声で言っているつもりなのかもしれないけど、女子生徒たちの逢坂の噂をする声はしっかり聞こえてくる。 あたしはその声を聞きながら、逢坂を見ていた。 逢坂って、ちょっと変わってる? だってそうじゃなきゃ、こんな冬の日に外で焼きそばパンを食べたりしない。 「凛夏?」 あたしの一点を見つめる視線に気がついた未亜が、あたしの横顔に声をかけた。 「あ、ごめん」 あたしは向き直ってまたお弁当を食べ始める。 そのあとも不思議な行動をとっている逢坂が気になって、あたしは何度か窓の外を見ていた。