そして、来たのだ。

 ついに、この日が。残念ながら、私の誕生日ではなかった。それより早い、1月20日だった。

 賭けは、私の勝ち。予定日より早いか遅いかの、単純な賭けだったから。2月になるかも、と言われていたのに、子供はどうやらせっかちらしい。

 彼は仕事で不在だった。私は病院も近いこともあり、これが陣痛でやつか!と自分でハッキリ判るまで病院に電話しなかった。

 そしてゆっくりと、徒歩で歩いていく。痛みがない間に動かなきゃならないとあって、病院までの距離が恨めしかった。チャリにでも乗るか?と一度は真剣に考えたくらいだ。

 頭の中で暴言を吐きまくる。だけど病院のベッドで診察を受けた時、普通に話してるわね、まだ、と助産師さんに言われて驚いた。

「え?これまだまだ酷くなるんですか?」

 この、7分ほどの感覚で来ている有り得ない痛みが??私のうんざりした顔を見て、彼女はケラケラと笑う。

「まだまだよ~!今はまだ途中ね。本格的になってきたら、全然笑えなくなるわよ。楽しみにね」

 ・・・笑えなくなるくらいのものを、一体どうやって楽しみにするんでしょうか。

 うそん、そんな・・・これは一体何の罰?そう思うくらいに衝撃的な痛みだった。

 そろそろお父さんを呼んで下さいね、と言われて、お父さんって、誰?とか思うくらいには痛みにパニくっていた。

 だけど痛みに耐えるしかすることがない私は仕方なく、携帯を耳に押し付けて、息も切れ切れに彼に電話をかける。