憂鬱な午後にはラブロマンスを


「それで、社長からのプロポーズはどうするの? 決めたの?」


珠子はさっきまでの微笑ましい様子とは180度変わってしまった。
頬は引きつり口元は歪み目は笑っている様で笑っていない。明らかに動揺している表情だ。

そんな顔を見て郁美は珠子が社長の俊夫に好意を持っていない事が分かった。


「勿論断ったのよね?」


珠子の顔色を見てそう尋ねた。当然、珠子からは断りを言ったと返事が返ってくるものだと思っていた。
だけど、珠子は口を噤み返事に関しては何も言わなかった。


「まさか、受けたの?!」


その質問にも珠子は答えなかった。
珠子は結婚する気などないのに、俊夫のあまりにも粘り強いアプローチに断れなくなっている。

というより、断わりの言葉を受け入れない俊夫は「Yes」と言わせるまで迫るつもりなのだろう。
そんな俊夫が怖く感じる珠子はどうすればいいのかを悩んでいた。