まずは病院へ行き会計を済ませて処方された薬を受け取り生活に足りないものを買い物する。そしてその後体に良い食事を作るのだと珠子は一度外出することにした。
茶の間で脱がした上着にアパートの鍵が入っていないかを確認すると胸ポケットの中から鍵を見つけた。その鍵を持つともう一度洋介の様子を見てから出かけることにした。
病院で会計を済ませようとした珠子だが、洋介の健康保険証がどこにあるのか分からずに全額医療費を支払ってしまう羽目になり、珠子としてかなり痛い出費となった。
「まあ、後でお金は戻ってくるし、それに、洋介から返して貰うからいいわ。立て替えくらいで文句は言わないわ。」
そんな文句を一人ブツブツと言いながら調剤薬局へと薬を受け取りに行った。ここでも、健康保険証がないことで同じことを言われ珠子の財布はかなり厳しくなった。
「コンビニのATMでお金を下ろしてこよう・・・・」
健康保険証がないだけでこれ程医療費がかかるとは思わなかった珠子はかなり落ち込み加減だ。
しかし、洋介が動けない今、珠子以外に洋介を手助けできる人はいないはず。
そう思うと珠子は嫌ではなかった。支払いで大金を使ったのにも関わらず妙に心が浮かれてしまった。
一緒に暮らしていた時を思い出してしまう。
あの時のように洋介の世話が出来ると思うと珠子は不謹慎にも浮かれてしまっていた。
コンビニのATMでお金を引き出し、ついでにそこで必要なものを買い揃えることにした。
遠出してスーパーへ行っても徒歩では荷物は持てないし歩いては遠くまでは行けない。タクシーを使ってわざわざ買い物へ行くより今は少しでも早くアパートへ戻って看病をしてやりたかった。
少々予算はオーバーしたけれどある程度の物を買い揃えられるとまずは一安心で洋介も喜んでくれるだろうとアパートへ急いだ。



