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それから数時間後。


パーティーは大成功の内に幕を閉じていた。


海をモチーフにした部屋を沙耶はすごく気に入ってくれて、何枚も写真を撮っていた。


次のお見舞いの時にはフォトフレームを買ってこないとな。


そんな事を考えた。


「ねぇ、来年は絶対に海に行こうね」


俺のあげたネックレスをつけて、沙耶はそう言った。


「もちろんだ」


手を繋ぎ、2人で写真を撮る。


パーティーが終わるころには少し疲れてしまったのか、沙耶は元気がなくなってしまっていた。


それは少し気がかりだったけれど、俺たちにはまだ後片付けが残っていた。


歩とここねは相変わらず2人で仲良く作業をしている。


ここねが作ったというおにぎりは確かに美味しかったし、沙耶とここねは同年代の女の子同士と言う事ですぐに仲良くなれていた。


沙耶に新しい友達ができたことは俺にとっても嬉しいことだった。


「海は自転車で帰るんでしょ? 荷物は車で持って帰ってあげるから」


お母さんにそう言われて、俺は飾りつけの終わった荷物を手渡した。


さっきまで華やかだった談話室は、もういつのも風景に戻っている。


袋の中につめた髪の飾りももう不要なものとして、クシャクシャに丸まっていた。


祭りの後の寂しさだ。


俺は沙耶に一言声をかけてから家に戻ろうと思ったが、病室に行くと沙耶は寝息を立てていた。


「寝てるのか?」


沙耶の寝顔を見ていた時後方から歩がそう声をかけてきた。


「あぁ」


「海は自転車で帰るのか? 俺が乗って帰ろうか?」


「いや、自分で乗って帰るよ。車にはここねちゃんも乗るんだろ? 早く行けよ」


俺は沙耶の寝顔を見ながらそう言った。


じゃないと、今思っている事をここで歩にぶちまけてしまいそうだった。


「あぁ……わかった」


歩はそう言うと、静かに病室を出て行ったのだった。