俺は弾かれたように走り出した。


海藻が足に絡みついてなかなか前に進めず、俺は海藻を引きちぎりながら無理やり前へと進んでいった。


「沙耶!?」


ようやく浜辺までたどり着いて、俺は沙耶の隣に膝をついて名前を呼んだ。


沙耶は青い顔をして強く目を閉じ、大きく呼吸を繰り返している。


「俺、誰か呼んでくるから!」


歩がそう言い、一件だけ建っている海の家へと走った。


「沙耶! 沙耶!」


静かな浜辺で俺は1人、沙耶の名前を呼び続けていた……。