「今日は転校生が来るらしいな」


2人で階段を上がりながら、海がそう言って来た。


「そうなのか?」


俺は首を傾げてそう聞き返す。


そんな話は聞いていなかった。


「あぁ。どこのクラスかは知らないけど、お前のクラスなら教えてくれよ」


海がそう言い、俺の頭をクシャクシャッと撫でた。


こうやって俺の頭を撫でるのは海の癖だった。


時々うっとおしく感じるけれど、払いのけるほどでもないからほっといている。


「あぁ。じゃぁな」


俺は海に手を振り、1年1組の教室へと入った。


海は1年5組だ。


同じ階の一番端の教室になる。


「よぉ歩!」


教室へ入ると同時に純がそう声をかけて来た。


純とは夏休み中ほとんど一緒にいたのに、相変わらずだ。


「おはよう純」


「昨日の新しいゲームもすっげぇ面白かったな!」


そう言い、俺の肩を組んでくる。


俺より5センチほど背の高い純に肩をくまれると、重たくて仕方がなかった。


「あぁ。あれは発売前から期待が高かったんだ」


「大当たりじゃん!」


純と会話をしながた俺は自分の席に座った。


窓際の一番後ろ。


眠るにはうってつけの場所だった。


「あ、そうだった。純、課題してきたか?」


そう聞くと純はキョトンとした表情を浮かべた。


「するわけねぇだろ。ずっとお前とゲームしてたんだから」