「もしかして、拡也…?!」

そんな俺に集まる視線を自分の方に逸らしたのは、翔吾の言葉だった。

同じ高校に、同じクラス。
びっくりしたあと、すぐに嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

そんな翔吾を見て、俺も嬉しかった。

人懐っこい翔吾は、前からクラスメイトだったかのように、すぐに皆と仲良くなった。

小学生の頃、初めて出来た友達が翔吾だった。

そのおかげでクラスにも馴染めたのに、小学卒業のタイミングで翔吾は転校してしまった。

家庭の事情。引っ越す。
幼かった俺には、"事情"なんて言葉は理解出来ずにいたけど…

会えなくなる。
ただ、それだけは分かったんだ。