もっと聞かせて うっとり酔わせて

香港なのにホテル・バハマとは笑えた。

グレードは高そうだ。

海外出張するサラリーマンはざらだ。

でもこんなにリッチなホテルに出張費が出るのだろうか。

メールで部屋は1103号室とわかっていた。

ドアを軽くノックして待った。

カチャリと開き見知らぬ男性が立っていた。

「どうぞ中へ。」

部屋を間違えただろうか。

「千葉さんはいらっしゃいますか?」

男性は部屋の奥に向かって喋った。

「千葉、彼女の到着だ。」

私は彼女ではないと否定したかったが

男性がいきなり私の肩に手をやり

中に入るよう促した。

そこはリビングのように広く

ソファーセットの他にドリンクカウンターとライティングデスクまであった。

なんてゴージャスな部屋だろう。

1泊いくらかは考えないことにした。

千葉さんはデスクに向かって座り

電話をしながらパソコンを見ていた。

どうやら仕事中のようだ。

「明日出直しますので。」

そう言って男性を見上げたが却下された。

私の肩をガッチリとつかんでチッチッと指を振った。

「ダメダメ、僕は失礼するから後のお守りは頼むよ。」

「お守りですか?」

「そうだよ。千葉は寂しがり屋だからね。」

「初めて知りました。」

「じゃ、任せた。」

男性はサッサと部屋を出て行った。

電話が終わったようだ。