母からメールがきた。

『どういう風の吹き回しなの?半年音沙汰なくて。』

この簡潔なる文に面食らった。

友達に誘われたことを綴ったら

即返信がきた。

『土曜の夜一緒に食べたいから友達も連れてきなさい。』

この有無を言わさずの文にカチンときたが

一応千葉さんに伝えるとしても

彼のスケジュールにそんな余裕はないと思った。

私一人で行くしかない。

とにかく荷造りだ。

ハムスターのクックをいつものペットクリニックに預ける予約を

ネットで先に済ませた。

せっかく入れた紅茶が冷めてしまった。

キャリーバッグはフタを開け放したまま

必要なものをどんどん積んで

会社から帰ったらきれいに入れるつもりでいた。

往復の航空券はDHLで明後日会社に届くように母が手配してくれた。

さすがは父の秘書だけのことはある。

敏腕で優秀な人材が24時間一緒なら父も鬼に金棒だ。

母が言っていたディナーはどこだろう。

ドレスコードが気になった。

母はカジュアルで済ますようなタイプではない。