俺は適当にオーダーした。

「ベイクドパエリアのハーフとシュリンプフライ、グアバを2つ頼む。」

「かしこまりました。」

新吾は無駄口を叩かず一礼してカウンターへ戻った。

奥のキッチンからはチーズトーストを焼く香ばしい匂いが店内に漂ってきた。

新吾がジューサーにスイッチを入れると

物凄い勢いで中の氷とフルーツが砕けた。

トロリと濃厚なグアバのエキスが

グラスにドロドロと流れて

溢れそうなくらいギリギリまで注ぐと

ザクッとストローを注した。

新吾が作るこのジュースは

二人でダイビングに行ったハワイ島で

地平線に沈む夕陽を見ながら飲んだ時と同じ

歓喜というか悦楽というか

天国とまでは言わないが

堕落した甘さがあった。

あの時染み込むように

のどの奥に流し込んで味わったものと

同じ味が今でもしやしないかと

半分期待のような思いを抱きながら

グラスを眺めるのは女々しいだろうか。

瑠花は真っ赤なグアバに感嘆の声を上げた。