「どこへ行くんですか?」

「知り合いの店が葉山にある。」

「葉山?これから行くんですか?」

「大丈夫。ひとっ走りで着くよ。」

「私の距離感では平日の夕食レベルではありませんけど。」

「あっはっは。ごめん。じゃ、何レベルなんだ?」

「休日のランチレベルです。」

「あっはっは。」

千葉は瑠花のその言葉で豪快に笑った。

「千葉さん、なんで笑うんですか?」

「頼むからちょっと黙っててくれないか?」

千葉は瑠花の一言一言にはまってしまい

笑いすぎて腹が痛くなりそうで

目尻に涙が浮かぶほどだ。

「笑いながら運転していたら危ないです。」

千葉は急に真顔になった。

「わかった。運転に集中するよ。」

「ありがとうございます。」

バイパスは思ったより空いていた。

あっという間に葉山の南国風景が窓の外を流れた。

「お待たせ。着いた。」

千葉は夕暮れの中ライトアップされた店のパーキングに車を止めて

助手席の瑠花を見た。