ぼーっと、今まさに彼女たちが話題にしている彼のことを考えた。

眉目秀麗、頭脳明晰に加えて人当たりの良さが周りを惹きつける。

月島 昴(つきしま すばる)。

わたしの幼馴染で彼氏。

わたしはサッカー部の彼を待つために放課後の教室で彼女たちと談笑するのが日課。

―コンコンッ。

「お待たせ、アズサ。」

凛とした心地良い低音が広くはない教室に響いた。

「スバル、おつかれ。」

教室の窓から差し込む夕日が彼の色素の薄いふわふわの髪をきらきらと照らしている。

談笑していた彼女たちは話をやめて、彼に魅入っている。

浮世離れしたその美しさに誰もが声を失うことだろう。