木造の古い一軒家。
物置みたいな玄関に、リビングのついていない狭い台所。床暖房はもちろん、トイレにはウォシュレットもついていない。

家の周りは雑木林と畑ばかり。


一応、電車に3時間揺られれば東京に着くのだけど、そんなことはとても信じられないほどの田舎だった。


ここには、私のおばあちゃんの妹が一人で暮らしていた。
おばあちゃんは私が小さい頃に死んでしまったから、おばあちゃんの妹なんて存在すら認識していなかった。

ずっと独身で、ずっと一人暮らしだったらしい。
60歳か70歳か、そのくらいだと思うけどよくわからない。 興味もない。


鈴子さんという名前のその人が、東京にいられなくなった私を引き取ってくれた。