とりあえず、1回の椅子に座り心を落ち着けた。

「…ねぇ」

「ん?」

「…あ、のさ。…精神科の先生が亡くなられたって言ったじゃん…。…それって…つまり…どういうことなのかな?」

「……」

「…都内の精神科の先生はあの人しかいないの」

「え?」

「…正確に言えば、”拓ちゃんの病を治せる人”があの人だけ」

うそ…。じゃあ、拓哉の病気は…治らないってこと…?

「…まだいるはず」

「うん…せい?」

「…拓哉の病気を治せるやつはまだいるはずだっ絶対見つける。大丈夫!…」

「そ、うだよね!」

うん。…あ、そうだ…今私に出来ること…それは拓哉の病気を治せそうな精神科の先生を探すこと。

「私…調べてみる。携帯とかパソコンとかで色々調べてみる!…私に今できること、全てやってみせる!!」

「めい…」

「めいちゃん…」

「だからね、私が見つけるまで…拓哉の側に居てあげて?」

「…おう!」

「うん!」

「じゃあ…」

早速探そうと思い、家に帰ろうとしたら。

「めい!」
「めいちゃん!」





「「ありがとう」」






「…うん」

この前までの私は、こんな事想像しただろうか?…するはずない。…暗くて海の底に沈んでいたような私が…今、誰かのために動き、誰かを信じれることが出来ただろうか…。お礼を言われることが出来ただろうか?…お礼を言うのは私の方。

「ありがとう」

ありがとうの一言じゃ足りない。…もっとたくさんのありがとうを伝えたい。




あの頃の私。心配しなくていいよ?…もうすぐ、大切な仲間ができるから。

…さくらや野々。加瀬君、夜乃、天君、陸さん…そして…精羅、拓哉…運生。

そんな…仲間が出来るから。…もう1人で涙を流さなくていいんだよ。つらい思いをした分…幸せが返ってくるから…