「…可哀想…って思う」

「可哀想?」

「うん。いじめをして楽しんでいることが。それってつまり、つまらない人間でしょ?…けど、そのことに気づいた人は自分を変えようとする。」

「…じゃあいじめをしてるけど、楽しくなくて苦しんでいる人のことは?」

「…何か理由があっていじめてるってこと?」

「…まぁそんなかんじ」

「…。…私は、そんな人に何も思ったりしない」

「どういうこと?」

「…自分の意思で動かない人に何を思っても意味ないよね。だって…いじめられる側にとっては、いじめてる側の理由なんて必要ないから。」

「…めいちゃん。じゃあ、」

「え?」

「…俺が過去にいじめをしていたならどうする?」

「…そんなの決まってるよ」

「…」

「どうもしない!」

天君が驚いた顔で私を見る。

「…もう1つ質問していい?」

「うん」

「俺が中学の時にめいちゃんをいじめてて、今再開したら?」

「…謝っては…」

「ない」

「…怖いかな。あのときの光景がよみがえるとおもう。今までがんばって立ち直ってきたのが全て無駄だったみたいに崩れていく…」

「…」

「けど、まずは謝ってくれたら…変わるんじゃないかな?」

「…めいちゃんってすごいね」

「え?」

「…親父が気に入るのもわかるよ。めいちゃんって強いね」

私が、強い?

「私が強いんじゃないの。…仲間がいてくれたんだ。いじめられてる独りの時に仲間ができたの。すっごく安心した。その仲間に背中を押してもらったの!」

「それって親父が用意した応援席に座っている子たちのこと?」

「そうだよ!」

「仲間がいれば安心する…か」

「うん!さっきの話の続きだけど、謝って許してもらえたら、仲間になってあげるの!」

「仲間になる。」

「うん!」