ん....右手が暖かい。

誰かが握ってるような感じする。

「みな....」

隣から声が聞こえたから、目を開け

声のする方をむいた。

「く、黒瀬...」

どうやら寝てるみたい。

右手が暖かいのは黒瀬が手を握って

いたから。

「授業、出てよかったのに。」

黒瀬は、怖そうなイメージだけど、

ほんとは優しいんだって、わかってきた

「黒瀬、起きて。」

黒瀬の方を揺すった。

「ん....聖奈?」

「何であんたまで寝てんのよ。」

「サボり〜〜ははっ」

無邪気に笑ってる顔、かっこいいなんて

黒瀬には秘密。

「あ、あんたは出なさいよ。頭悪くなる

わよ?」

「俺は頭いーから大丈夫ー。」

なんか、私は頭悪いって遠回しに

いってません?

「てか、もう放課後じゃん。先生

来なかったんだな。」

あ、ほんとだ。

「帰んなきゃ。」

「今日こそ送ってく。」

「いいって!」

私の家を知られたら色々とまずい。

「それじゃ、バイバイ!」

私はそのまま保健室を出て

校門まで走った。

「はぁっ、危ない危ない。」

早くかえろう。

そう思ったとき。

「あ、藍原さん!」

「へっ?」

誰?声をかけられたけど、

知らない人だ。

「す、すみません。私は神谷佐奈(kamiya sana )って言います。」

神谷佐奈ちゃん....ごめん、知らないわ。


「私、藍原さんと同じクラスなんです!

確か、黒瀬君と付き合ってるんですよね


「あ、っと...私は別に...」

「羨ましいです!」


この子まで誤解をしてるぅ...

黒瀬め!恨んでやる!

「私、藍原さんとお友達に、なりたいんです!」

「わ、私と?私でいいんならお願いします?」

「いいんですか?やったー!」

そういって、飛び跳ねる神谷さん。

「私のことは佐奈ってよんでください」

「私は聖奈でいいよ!よろしくね

佐奈!」

私にまた友達が出来たっ...

「聖奈、それじゃぁ、また明日ね!」

「佐奈、またね!」

そう言って私たちは別れた。

「随分と嬉しそーだな。」

「そんなの、当たり前....」

って、この声は...

「なんだよ?早く帰んじゃねーの?」

やっぱり。黒瀬だ....

なんか、不機嫌そうな顔までして。

「黒瀬...」

「聖奈、俺今すっごく機嫌悪いんだよ

ね。」

知ってますよ。顔にまででてるもんね。

本当は、嫌だけど、送ってもらおう。

「黒瀬っ....送ってって。」

「は...?」

「機嫌悪いの、送るの断ったから

でしょ?」

それ以外に理由がないもん。

「それだけじゃないし。」

はい?

私は他に理由が思いつかないんですけど