〜黒瀬side〜



「俺は黒瀬洸。」

「ぼ、僕は....佐野...かな...と..」


俺たちバスケのクラブで出会った。

叶斗は気の弱そうな奴で、でも

バスケになると目つきが変わって

まるで別人みたいだった。












「夏季大会は、負けないから!」



別々の中学に入り、ライバルだった俺た

ちは、全国をかけた夏季大会で戦うこと

をきめていた










「黒瀬、お前には才能がある。」




コーチは昔バスケの選手で日本代表とい

う凄い人だった。







「俺は、負けてはいけない。」



小学生の頃から、俺は期待されていた。

将来も可能性は十分にあると言われていた。





けど、あの大会以降、俺はバスケを止めた。





夏季大会がおわって一ヶ月経ったある日








「黒瀬、前の大会で決勝戦った中学の

佐野って知ってるだろ?」




「あぁ...」






それは衝撃的だった。



なんでだよっ....!!!



もう戦うことはないって、そういうことなのかよ。










"そいつ、辞めたんだって"





理由はわからないけど、辞めたと聞いた瞬間に、俺は何かを失った気がした。







俺は叶斗に色々と教えてもらった。

ライバル心を芽生えさせたのはあいつ。
悔しさも、時には悲しさ。
そして、喜び。


あいつと共に戦った試合はやる気が出る


そして、友情。


ずっと、あいつだけが俺を認めてくれていた。

俺のことを理解してくれていた。




そう思っていたのは俺だけだったのか...?