「それじゃ、ちょっとまってて。」
放課後になって黒瀬に教室でまっててもらって、佐野君の所へ急いでいった。
「佐野くん、待たせたかな?」
「全然まってないよ?」
着いた頃には佐野君の姿はもうあった。
「あの、話ってなに....?」
「もしかして、気づいてない?聖奈。」
え....?気づいてない?しかも、聖奈ってよびすて....?
やっぱり佐野君は私が思っていた.....
「叶斗...だったの...?」
「薄々は気づいてた感じ?そう、叶斗だよ。」
うそ....
「久しぶりに会ったんだから嬉しそうにしてよ...」
「そんなのっ.....無理にきまってるよ!
叶斗は....私なんか嫌いって...言ったじゃん!」
放課後の学校の空き教室。そこに私の声がこだました。
「そっか....お前は俺より....海斗が好きだったもんな...」
海斗...叶斗の2つ上のお兄ちゃん。
私が海にーちゃんを好きだった....?
「なに、それ....私は海にーちゃんは優しいお兄ちゃんとしか思ってなかったんだけど。」
「嘘だろ....そうやっていつも俺を惑わすんだろ...」
なにを言ってるの....?今更そんなこと、
叶斗は私が嫌いなはずでしょ?
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中学一年の時、私は叶斗に出会った。
新しい制服にまだ慣れていないその姿は
少しだけ小さく見えた。
「僕は佐野叶斗だよ。よろしくね。」
入学して私は友達も出来ずにいた時、隣の席の叶斗は話しかけてきてくれた。
これが私達の出会い。
それからは、私達は話すようになって、
お互いのことを下の名前で呼ぶようになった。
「叶斗は、好きな人いるの?」
「.....いるよ...」
よく、恋バナをしては叶斗が誰のことを好きなのか気になった。
だって、私は叶斗が好きだったから。
「聖奈は?海斗か...仲良いもんな?」
違うよ...?私は海にーちゃんじゃなくて叶斗が好きなんだよ?
けど、そんなこと言えるはずもなく。
気がつけばもう中3。
叶斗との関係は変わらない....
最近は叶斗は苛立ったような、ひどく傷ついた様子だった。
バスケ部で色々あったって聞いたけど詳しくは教えてくれなかった。
「叶斗、帰ろ?」
久しぶりに息抜きでもしようと思い叶斗をさそってみた。
「...わかった。」
よかった...
そう思ったのが間違いだったんだ。
叶斗にあんなこと言われるなんて思ってもなかったから。

