「それじゃ、気をつけて帰れよ〜〜」

帰りのホームルームが終わり、皆がぞろぞろと教室を後にする。

「黒瀬君!帰ろう?」

私は黒瀬と一緒に教室を出ようとした時、ある声が聞こえた。

「神谷、もうお前とは一緒にいれない」

「なんでなの!?」

佐奈が、黒瀬を好きなんだって知ってる。

「俺がずっと好きで入れる奴は、聖奈だけだから。」

「聖奈ちゃんばっかり、ずるいよ!!
私の方が黒瀬君を好きなのに!」

声を荒げる佐奈。確かに黒瀬のことが好きだって伝わってくるよ?
けど、私だって....

「私だって、黒瀬が好きなのは誰にも負けないよ!!ずるい手を使って、黒瀬を振り向かせようとした佐奈よりは好きだよ!」

「っ...」

私の発言に言葉を失う佐奈の姿があった。

「っ...もういい!!」

そう言い残して佐奈は教室から飛び出していった。

「なんだ、あいつ。」

「黒瀬っ....佐奈を責めないでね?」

「はっ?」

まさか、こんなことになるなんて思ってなかった。確かに佐奈がした事はずるいとおもう。でもね、恨むなんでできないよ。だって....

「佐奈は...私の友達だから。」

私は黒瀬に微笑しながら言った。

「...聖奈が言うんなら、責めないでやる。」

「うん。ありがとう。」

黒瀬が優しいってこと、分かってる。
だって、私の大切で、大好きな人だから。