佐奈と黒瀬のことから一週間がたった。
けど、私は黒瀬に気持ちをつたえてない

「聖奈ちゃん!まだ黒瀬君に言って

ないの?」

「うん。なかなか言えなくて...」

今は志乃ちゃんと廊下を歩いている。

直接伝えるとなるとやっぱり緊張する。

「いつまでにげるの?」

「だ、だって...」

「早くしないと黒瀬君、本当に

いなくなっちゃうよ!?」

志乃ちゃんは廊下だって言うのに声を
張り上げた。
当たり前に周りの視線は私達に向いている。

「志乃ちゃんっ...」

「聖奈ちゃん、ほら、行くよ!」

行くってどこにっ?
そう言おうとしたら私は志乃ちゃんに
腕を引かれた。








「ほら、行ってきなさい!」

「ちょっ、志乃ちゃんっ!?」

背中を押された。
しかも、そこには黒瀬がいるし。

「あっ...く、黒瀬..久しぶり」

ちょっとぎこちなくなったけど、
頑張らないと。

「おう....」

あれ?なんか黒瀬の顔、強張ってる?
気のせいかな。

「俺、急いでっから...」

そんじゃぁ...
そう言って黒瀬は歩き出した。

「っ...待って!」

私が叫ぶと、黒瀬の足が止まった。

「なんで?なんでっ....」

私の目から一筋の涙が溢れた。

「なんで私を避けるのっ...」

泣かないって決めたはずなのに黒瀬を
見ると涙とめどなく溢れてくる。

「私が嫌いならなんで好きって

言ったの...避けるなら、嫌いなら、

嫌いっていってよ!!」

私は感情が抑えきれなかった。
"黒瀬のバカっ"
そう口にしようとした時。

フワッ

甘い香りが私を包んだ。

「バッッカじゃねぇーの?」

「えっ...?」

黒瀬が私を抱きしめていきなりそういった。

「嫌いになれるわけねーじゃん。」

「なら、なんでっ...」

「お前のためだった。」

えっ?
私のため?

「どういうこと?」

黒瀬の腕の中で私は問いかけた。

「神谷に言われたんだよ。

神谷と付き合わないと聖奈になんかする

って。だから神谷と付き合った。

けど、聖奈を忘れられなかった。

それどころか、聖奈と話したい、

聖奈に触れたいって感情が膨らんだ。」

黒瀬は理由を話してくれた。

「なんで、私に言わなかったの?」

「お前を、傷つけたくなかった。」

切なそうな声で黒瀬は抱きしめる力を強めた。

「黒瀬がいない方がっ...辛いよ!」

「聖奈っ....」

私は黒瀬から離れるとポケットから
ある物を出した。

「黒瀬、私黒瀬がすきなの!」

私はポケットから出したマカロンのストラップを黒瀬の前に出した。

「聖奈、本当か?」

「こ、こんな時に嘘なんかつかないよ」

私がそう言うと黒瀬は安心した顔をし、
ストラップを私から受け取り

「俺も聖奈が好きだ。付き合ってください。」


「はい...!」

その瞬間、私はまた甘い香りに包まれた



「これからは、絶対離さないから。」

「私だって、離れないんだから!」

「約束な?」

私達は笑い合いながら、誓い合った









「黒瀬君....っ...絶対渡さないんだから」

陰で私達を見ている人物に私達は
気づかなかった。