「聖奈が、俺を好きになんないから。」
はぁ?そんなんで機嫌悪くされても
困りますよ....
「ねぇ。聞くけどさ、なんで私なの?」
「ずっと、好きだった。」
「どういうこと?」
私を好きなんて物好きだね.....じゃなく
て、私、黒瀬のこと知らなかったんだ
けど。
「それって、いつから?」
「中3の時。」
〜洸side〜
中3になったばかりのこと。
俺は、意外にモテてた。
だから、女子にキャーキャー言われ
調子に乗ってた。
「洸君っ、あの、好きです。」
また、告白か。
「わりぃ。俺中学で誰かと付き合う
気はないから。」
いつも、このセリフで交わすんだ。
付き合う気なんてさらさらない。
「そ、それじゃぁ、高校入ったら
付き合ってください!」
けど。いつものやつとは違って
こいつは諦めが悪かった。
いや、こういってきたのは
こいつで二人めだけど。
一人は、女子のリーダー的なやつ。
そして、こいつ.....
神谷佐奈。
「ん〜、気が向いたらな。」
そのあとは何にもなかったし、
神谷ってやつも諦めんだろ。
そのまま時間が過ぎていった。
気づけば12月。受験生にとって
大切な時期。ま、俺は勉強しなくても
余裕だから、遊んでばっかだけど。
「洸、息抜きにカラオケいかね?」
「あぁ、いいんじゃね?」
俺は男の友達とカラオケに行った。
「洸って、普段どんな歌きくの?」
「歌?聞かないけど。」
「はっ?うそだろ!?そんなんで
カラオケ来るっつったのか。」
歌どころか、趣味も特技も
何にもなかった。興味を持つわけでも
なかった。
「お前のきーててやるから歌えば?」
「俺ひとりで!?」
まぁ、友達とはこんなやりとりで済まし
てた。
カラオケの帰りに、俺はあるやつに
出会った。というより、見た。
「聖奈?」
「えっ?」
二人の男女だった。その女の方が
めっちゃ、可愛いし、めっちゃ
タイプだった。いわゆる一目惚れ。
「さっきから何見てんの?」
「あっと、あの子一人でいるから
迷子かなって...海にーちゃん...」
「行ってみるか?」
でも、カップルって感じはしない二人。
二人は、おどおどしてる女の子の
所に向かって行った。
「ねぇ、どうしたの?」
「おねーちゃんとはぐれちゃったの..」
そのあとは迷子の子を送ってったのか
姿はなかった。

