なんて心地いいんだろう。



目を閉じると、心地よいそよ風が少女の頬をそっと撫でた。



「シエラ様?」



どこからかシエラと呼ばれた少女を探す声がしたが、構わず身を任せる。



すると、ちょうど真上で烏が鳴き叫んだ。



それはまるで、己の危険を皆に伝えようとしているように聞こえ、シエラは悲しくなった。



「シエラ様」



先程の声がより一層近くから聞こえ、振り返った先にいたのは燕尾服に身を包んだ若い男性だった。