「あ!お前今笑ったな!んなら、よーし」 ケイタはのそりと立ち上がり、距離をつめてきた。 「え、なに………?」 私も1歩、2歩と後ずさる。カシャンと音が鳴り、後ろにはフェンスしかないことに気づく。もう逃げられない。 ケイタは俯きながらこちらに向かって来る。表情はわからない。なに、どうしちゃったわけ? 残り30センチ。されど30センチ。 ピタリと動きをとめたケイタ。ゆっくりと顔を上げた。 「ひっ」 笑っていたのだ。本能的に『やばい』と思ったときには既に遅し。