祓い屋!

囮を縛っている札に念を込めた後、海の神の前に立つ

「私はあなたの娘に頼まれてここにいます」

椿の術が作動し、囮に月下美人の意識をうつす

「お父様、ご無沙汰しております」

「お前!こんなことをしてまで戻るのを拒む理由はなんだ!」

ビリビリと周りが振動するくらい海の神の怒りは強い

「わたくしは海に帰りませんわ、海にはわたしくしの愛しいものはおりませんもの。この地で消えるのも本望ですわ」

ごぉーっと音がして空の様子が変わってきたところで周りの祭りに来ていた人間たちが中止を叫んでいる

「神さま!娘さんの気持ちには迷いがない!これで分かったでしょう?無理に連れ戻すのはやめて」

クロが風に吹き飛ばされないように必死になっている

月下美人と神様はいまだケンカ中だ

さらに海が荒れ行く

椿はついにキレた

「もういい加減にして!これ以上続けたらこの町の人が死ぬ!海の安全を守るのが神様の役目でしょ?自分勝手で人の命を奪っていいわけない!」

神は椿の言うことすら聞いてない

「人間ふぜいがが我に指図するでない!」

ひゅつと風のように何かが椿目掛けて飛んできた

とっさに顔を庇うように腕をクロスして身を守ろうとすると

クロが椿の目の端に映る

「クロ!!」

椿は叫ぶのと同時にそこからの記憶を失った