慶吾を失ってから今までの間、思えば私は独りじゃなかった。



さすがに寂しくなる日や、泣きたくなる夜はあった。けれどそれ以上に、莉央が隣に居てくれることであたしの心は安心で満たされていた。


あたしを救ってくれるのは、いつも決まって莉央だった――。


『桜?そろそろ着くんだけど、部屋空けといて?』

電話越しに聞こえる彼の声は、昔とは違う。

あれだけ慶吾にそっくりだった彼の声は、長い月日のサイクルとともに変わってしまっていた。


ピンポーン。

忘れてた。鍵空けてない!!


私は急いで玄関に向かい、ゆっくりと鍵を開けた。