「…ひっく…。私って馬鹿だなぁ…。」





『何がバカだって?』






膝に顔を埋めたまま言った独り言に答える声が聞こえて驚いて顔をあげた。






『え?真奈美泣いてんの?』






目の前にいたのは義彦。






驚いた顔して私を見下ろし、慌ててしゃがんで覗き込まれた。





慌てて涙を拭ったけれど、泣き顔みられちゃった?






『何で泣いてんの?修となんかあったか?』





田嶋くんの名前が出ただけでズキンと痛む胸とジワリと滲む涙。






ここで泣いたら、田嶋くんは何も悪くないのに、迷惑かけちゃう。






「違うよ。何かまだ昨日の酔いが残ってるみたいで気持ち悪くなっちゃって。

吐きそうで我慢してたら涙目になっちゃったの。」





痛む胸を抑えて立ち上がる私につられるように義彦も立ち上がる。





「心配かけてごめんね!もう大分平気だから戻ろうか。

…あれ義彦なんでここにいるの?」






『あ?ああ。タバコきれたからそこの自販機まで買いに…。』





ふわっと義彦から香水の香りがして…ハッとする。





そしてタバコというその言葉に忘れてた記憶が少しだけ甦った。