しかたなく、私は慌てて答えた。
「……す、好きではない……けど……嫌いでも、ない」
けどどっちかというと嫌い。
「………………ふーん。まぁ好かれてはないだろうと思ってたけどね」
なんかつまらなさそうに言う彼は。
答えたのにまったく離そうとしてくれない。
「あの…離して……」
「俺は、アンタのこと好きだよ」
「……………………………は？」
突然何を言い出すのこの人。
もうなんかわけわかんない。
この状況も黒州くんの言葉も。
少しドキッとした自分も意味わかんない。
………いや、なんでドキッとしたのかって。
彼の目が、本気だからだ。
じっと見つめる彼の目は、焦げてしまうのではないかと思うくらい熱くて。
落ち着かない。
苦手なはずだ。
言動は、本気か、そうでないのかわからないのに。
目だけは、とても真剣で、本気だから。
「……………そ………」
声すらでなくなってしまうのは。
「それに対して、私は………」
何故なのか。
「なんて返したらいいのか、わからないんだけど……」
