「………そう、なら私先に教室戻ってようかな」
そう言って掴まれた手を離そうとすると。
黒州くんは私の腕を掴んでいた手を下にずらし、私の指と自分のそれを絡ませた。
…まぁ、いわゆる恋人つなぎ。
って。
「え?えっ、なにしてるの」
離そうとしても強く握られているせいで離れない。
え、どうすればいいのこれ?
え…いや………………え?
「俺らも2人でいよーよ」
「は?」
いや、まてまて。
「別に私たちいい雰囲気でも何でもないよね?」
「んー………」
手を離そうともがいていると、腰に彼のもう一方の手が回った。
そして。
「っ!?」
ぐいっと引き寄せられ、彼との距離が間近に迫る。
黒州くんは私の手を握っていた手を離すと、私の顎を掴んだ。
……………う。
間近に整った顔が迫っているこの状況に戸惑いを隠せない。
他の女子なら喜ぶのだろうけれど、悲しいかな私は戸惑いが大きくてそれどころじゃない。
「あの………黒州くん?」
「初ってさ………俺のこと嫌い?」
じっと、熱のこもった目で何を言うかと思ったら。
は?
え?
「……何の話…」
「答えてくれないならこのままキスする」
「え!?いやあの、」
意味がわからない!!
なんで答えない=キスになるの!?
少しずつ縮まる距離に今すぐ逃げだしたくなる。
のに、腰に回った手によってそれができない。



