葉山くんの誘いに、せっかくだからと亜美がのったことで、私たち4人は中庭に来ていた。
色とりどりの花が咲き乱れる中庭は、学校の敷地内だということを忘れそうになるくらい綺麗だった。
白薔薇と赤薔薇が多く咲いている場所に、隠れるようにテーブル席があった。
そこに座り、持ってきたお弁当を広げる。
「えっ、亜美ちゃんたちそれで足りるの?」
葉山くんの驚きの声を聞いて、自分たちのお弁当を見下ろす。
……………そこまで小さくはない。
けれど、男子高校生2人からしてみれば少ないのか。
「葉山くんたちが多いんじゃないかな?」
「そう?普通じゃない?」
ニコニコと笑いながら話す亜美と葉山くん。
なんというか、いつからそんないい雰囲気になったの。
隣から亜美たちを見ていると、付き合いたての初々しいカップルに見える。
そう思いながら2人を見ていると、黒州くんが立ち上がった。
「俺ら飲み物買ってくるわ」
彼は、俺らと言いながら私の腕を掴み強制的に立たせる。
「えっ、ちょっと…」
ズルズルと引きずられるままに黒州くんと歩く。
「ちょっと、なに?」
少し歩いたとき、彼を見上げて問いかけると。
「あいつらイイ感じだったから」
笑いながら、さらっと言った彼に。
「……………………」
残念ながらなんとも言えなくなる。
私も少し思ってしまっていたからね。
「だから2人きりにしてやろーかなって」



