「初!お昼食べよー」
あの突然の出会いから一週間。
私の日常は平和とは言えないかもしれない。
「うん」
亜美に返事して立ち上がると、隣から手を引っ張られる。
「わ、」
バランスを崩して倒れ込んだ10cm先には。
「……」
クスクスと笑う黒州くんの顔があった。
「………離して」
真顔で言うと、黒州くんはすんなりと手を離してくれたけれど。
女子の黒い視線は離れることがなかった。
なんなんだろう。
私が悪いのか…?
「初…?」
大丈夫?と亜美が心配してくれるけれどなんかもうそれどころじゃない。
ムカつく。
「行こう」
亜美の手を取って歩き出そうとすると。
「待って!」
「きゃ…!!」
男子の声と、亜美の叫び声が聞こえた。
「あ、ごめん…」
振り返ると、亜美に謝っている葉山くんがいた。
急に手を引っ張ったことに対する謝罪らしい。
「あの、さ……よかったら、なんだけど」
葉山くんが私と亜美に視線をよこす。
そしてその後ろには、黒州くんが立っていた。
「…昼、一緒にどうかな?」