「ひっ…」
男性の声に、亜美は怯え、慌てて振り返った私の後ろに隠れた。
亜美を気にしつつ、前にいる人物に目を向ける。
彼を見て、最初に思ったことは。
…でかい。
見上げると首が痛くなる。
150くらいしかない私が小柄だということを差し引いても、目の前の彼は身長が高かった。
「……?」
彼は、後ろに隠れた亜美を見て、不思議そうに目を細めた。
少しタレ目がちな、整った顔。
なんというか、まぁ、イケメンなのだろう。
「えっと、怯えさせちゃった?ごめんね」
「何泣かせてるんだ。誠治」
そしてまた聞こえる男性の声。
その声の主は、誠治と呼ばれた男性の後ろから歩いてきた。
少し釣り上がった目は、どこか色気が感じられた。
そしてこの人も顔が整っている。
なんだ今日は。
綺麗な顔を見すぎて目にいたい。
「泣かせてはないっつの」
「どうだか」
クスクスと笑っていたつり目の彼は、私を見た瞬間、少し驚いた顔をしたきがした。
「ねぇ、ごめんね?」
誠治という男性が、亜美に話しかける。
私の後から少しだけ顔を覗かせた亜美は、伺うようにふたりを見つめた。
可愛らしい亜美は、昔から男が苦手なのだ。
昔、勝手に付き合うだなんだと言われ、傷ついた過去があるようで。
そんな亜美は男性は最初、疑ってかかる。
「………いえ」
「……あ、そういえば、まだ自己紹介してなかったね」
亜美の態度に戸惑っている彼は、にこりと無邪気に笑った。
「俺は葉山 誠治。よろしくね。で、コイツは黒州 蓮。変なやつだけど、悪いやつじゃないから」
「お前にだけは変だと言われたくない」



