春休み中の出来事を上機嫌で話す亜美と、2人で2組に向かうと、不思議な光景があった。
「あれ?なんだろ、あの人だかり」
うん。
…………なんだろう。
そこには、スーパーの特売セールでも見かけないような、すごい人だかりがあった。
………2組の前に。
それも、人だかりの中は見える範囲すべて、女子だった。
「ねぇねぇ、なんかあったの?」
そのうちの一人に、亜美が明るく話しかけると。
「今年は2組なんだって!黒州くんと葉山くん!」
………は?
「……えっと、その2人がどうかしたの?」
「新学期から見れるなんてレアじゃない!」
……………………は?
まったくもって彼女の言葉の意味がわからない。
何の話?
「……えっと、そうなの、かな?…ていうかさ」
どうにか話に乗ろうとしてるのだろう、亜美の言葉で。
その場は恐ろしいくらい凍りついた。
「黒州くんと葉山くんて………誰?」
にこにこと笑う亜美。
それとは対して、他の女子たちは目を見開き、しんじられないというように亜美を見つめた。
「………え?…亜美、変なこと言った?」
空気を感じ取ったらしい亜美の声は不安げに揺れていた。
「変よ!黒州くんたちを知らないなんて!」
「……でも…」
女子たちの怒声に戸惑った亜美は、私を振り返った。
……えーっと。
「……ごめんなさい、私も知らない」
私が亜美を庇うように言葉にすると。
女子の悲鳴が聞こえ、そして。
「へぇ?俺達を知らない子、久しぶりに見たな」
後から男性の声がした。



