柔らかく吹く風に、さらさらと私の髪が攫われ、浮き上がっては、ぱさりと背中に戻る。



私はそれを手で押さえつつ、目の前のクラス表に目を向けた。





暁月 初、が、私の名前。




たぶん、どこにでも居る高校生。





まぁ、唯一の友人には、普通とは遠いと言われるけれど。





今日は私が2年に上がる、始業式。



毎度、クラスが移っても私には友達ができない。


話しかける勇気も無ければ話しかけてきてくれた人に笑って返せるほど愛嬌があるわけでもないから。






それに対して、私の親友は。


「うーーいっ!!!」




「わっ………亜美ったら、急に抱きついてこないでよ」





秋元 亜美。




ふわふわと胸の前で揺れる猫っ毛も、くりくりの目も可愛らしい、どこから見ても美少女。





私と違って愛想のいい亜美にはたくさん友達がいるけれど。


「ふっふーん♪今年も初と同じクラス!ずっと一緒にいようねーっ」




特に私に懐いてくれている。





たぶん、中学からの付き合いってこともあるんだけれど。


私は、そんな亜美に救われている。






「同じクラスなの?何組……あ、2組だ」



「ほら!見て!初の下に亜美の名前!」






とても嬉しそうに笑う亜美。


そんな彼女を見ていると、私も口元が緩んでしまった。