「何?何?何?何なのよ、今の?」
絶叫にも近い叫びで有希が私の耳元で叫んだ。
「ちょっ、有希、声大きいから。」
「ねぇ、亜美。ほんとに山野君と昨日初めて会ったの?」
「そうよ。昨日、初めて会ったよ。」
「じゃ、今のやり取りは何なのよ?どうして彼の言いなりになってんの?」
有希に言われて答えに困った。
自分でもよくわからない。
どうして拒否することなく携帯を差し出してしまったのか?
彼の声がそうさせるのか?
彼の話し方がそうさせるのか?
彼の冷たい笑顔がそうさせるのか?
私自身、答えがわからなかった。
「私にもよくわからない。」
「何それ?ほんとに何なのよ?」
時計の針が午後の始業5分前を指す。
この話はここまでと、私達はお互いのフロアを目指した。
オフィスに入って自席に座ろうとしたら、ポケットで携帯が振動した。
パソコンの電源を入れ、ポケットの中の携帯に手を伸ばす。
パソコンの画面が立ち上がり、私の顔に光が差す。
「なぁ、亜美?今日、空いてる?」
後ろから声を掛けられ、振り返れば、同期の祐亮が立って居た。
握っていた携帯から手を離し、ポケットから手を出す。
「何?どうかした?」
「これ・・・」
と、祐亮が差し出して来た資料は、明日のプレゼンの資料。
「え?もしかして、まだ出来てないとか?」
「あー、そのまさか?で、今から俺、出張なんだよね・・・」
「はぁ?何言ってんの?明日だよ?わかってる?」
ごめん、と顔の前で両手を合わせ、頭を下げる祐亮。
特に今日、用事があるってわけではなかったし、土下座でもしそうな勢いの祐亮が可哀相で引き受けた。
「いいよ、出張行って来て。私が後やっとくから。」
そう言えば祐亮は破顔して、オフィスを出て行った。
その後姿を見送ってから気付いた。
そう言えば、今晩、付き合って欲しいとか言われてたなぁ。
屋上で会った時に今夜の予定も言わなかったんだから、彼自身、私を揶揄っただけなんだろう。
携帯がメールの着信を知らしていたことを私はすっかり忘れていた。
絶叫にも近い叫びで有希が私の耳元で叫んだ。
「ちょっ、有希、声大きいから。」
「ねぇ、亜美。ほんとに山野君と昨日初めて会ったの?」
「そうよ。昨日、初めて会ったよ。」
「じゃ、今のやり取りは何なのよ?どうして彼の言いなりになってんの?」
有希に言われて答えに困った。
自分でもよくわからない。
どうして拒否することなく携帯を差し出してしまったのか?
彼の声がそうさせるのか?
彼の話し方がそうさせるのか?
彼の冷たい笑顔がそうさせるのか?
私自身、答えがわからなかった。
「私にもよくわからない。」
「何それ?ほんとに何なのよ?」
時計の針が午後の始業5分前を指す。
この話はここまでと、私達はお互いのフロアを目指した。
オフィスに入って自席に座ろうとしたら、ポケットで携帯が振動した。
パソコンの電源を入れ、ポケットの中の携帯に手を伸ばす。
パソコンの画面が立ち上がり、私の顔に光が差す。
「なぁ、亜美?今日、空いてる?」
後ろから声を掛けられ、振り返れば、同期の祐亮が立って居た。
握っていた携帯から手を離し、ポケットから手を出す。
「何?どうかした?」
「これ・・・」
と、祐亮が差し出して来た資料は、明日のプレゼンの資料。
「え?もしかして、まだ出来てないとか?」
「あー、そのまさか?で、今から俺、出張なんだよね・・・」
「はぁ?何言ってんの?明日だよ?わかってる?」
ごめん、と顔の前で両手を合わせ、頭を下げる祐亮。
特に今日、用事があるってわけではなかったし、土下座でもしそうな勢いの祐亮が可哀相で引き受けた。
「いいよ、出張行って来て。私が後やっとくから。」
そう言えば祐亮は破顔して、オフィスを出て行った。
その後姿を見送ってから気付いた。
そう言えば、今晩、付き合って欲しいとか言われてたなぁ。
屋上で会った時に今夜の予定も言わなかったんだから、彼自身、私を揶揄っただけなんだろう。
携帯がメールの着信を知らしていたことを私はすっかり忘れていた。

