「山野まさき君・・・」
「はい、そうです。」
「有希ちゃんはどうしてその子を知ってるの?」
「きっと、今回、亜美がこうなったのはその方が原因だと思います。」
「どういう・・・こと・・・?」



私は亜美と山野君の出会いから別れまでをおば様に話した。
たった数ヶ月のことだったけど、亜美はその数ヶ月、生き生きとしていた。
高校時代から亜美を知ってる私がそう思うんだから間違ってはいないと思う。
そしてまた、ここまで彼女をどん底に落ちたのも今回が初めてだと思う。



「亜美の記憶の中から、山野君が消えてるんだそうです。私も詳しくは知らないんですが、山野君は亜美のことを知ってる。けど、亜美の記憶に山野君は居ない。そのことが二人を引き裂いた様なんです。」

「有希・・・ちゃん・・・どういうこと?」

「二人は付き合っていたわけではないんですが、とっても雰囲気の良い仲でした。年は亜美の方が年上でしたけど、本当にお似合いだったんです。けど、山野君が急に亜美から離れて行ってしまって・・・」


そこまで言うと、おば様は嗚咽を上げて泣き出してしまった。


「お、おば様?大丈夫ですか?」
「ごめんなさい、ごめんなさいね・・・うぅ・・・」


病院に無理を言って、個室を一つ借りた。
おば様とゆっくり話をするために。
私一人では負い切れない内容かも知れないと、祐亮も呼んだ。