一花が大きく息を吐き出した。

「、、ご、ごめん、、なさい。」

あたしは両手をぎゅっと握り合わせた。
次郎にもケーキを食べて欲しかっただけなんだけど、軽率すぎた。一花にも渡したかったのに、、この状況でとても言えるはずがない。
軽くなったはずの両手が、ぐんと重くなった。

「こうしてて、見つかるといけないんだよね。
じゃ、、あたし、行くね。」
気まずさに、そう言って走り出そうとした。

のに、あっと言う間に両手が掴まれていて、その場から動けなくなっていた。

「少しだったが、修行したことは忘れたのか?
そんなだと他の奴らに甘く見られるぞ。」

「ぁ、、」

「まったく、、



心配で飛び出してきた。」


ぶつかった瞳は声音よりもとても優しく見えて、夜桜の下で叱って励ましてくれた一花の瞳を思い出した。

震えそうだった胸がどきっと音を立てた。

「俺も修行のやり直しだな。

またお前も付き合うか?」
ふっと笑った一花に、そこだけははっきりと「遠慮します」と答えた。