意表を突かれ、思わず言われた通りフォークを手にひと口。

口の中で溶けて無くなる感じがした。

「甘く、、ない。」

「でしょ。」
「いや、甘い、、んだが、溶けると言うか、口に残らないというか、、」

「つまり、美味しいと。」
「う、、 痛っ。」

言葉に詰まる俺の肩をぱんぱん、と三田が叩いた。
「要らなければーー」
「いや、これはいけるーー」

くすっと笑う声が降りてきた。
「コーヒーとの相性もいいですよ。」



こんなケーキなら、誰かにやるのは惜しくなった。『いけるな』俺はもうひと口もふた口も、ぺろりと食べきっていた。

『こんなケーキだったら、一花には物足りないんじゃないか?あいつ、見掛けと違って甘党だから、、ま、その時は俺がもらってやっても、、

ぁ、、

何考えてんだ、俺。』

くくっと笑いが漏れた。

「六車、コーヒーのお代わりを。」