鐘の音がカラン、コロンと店内に響いていた。


六車はコーヒーカップをソーサーに戻した。
「郷太、ケーキが足りなかったですか?
よかったら、お店のスイーツ、食べますか?」

「要らない。」
むすっとした表情の郷太はフォークを加えたまま、スツールに身を預けた。

『3つじゃないのかよ、、』

スツールは右へ左へとゆっくり半回転ほどするのを繰り返している。


「彼女のケーキ、ほんとうに美味しかったですね、もう一つでも食べたくなりますよね。」
キィッ、、スツールは、郷太を左隣の三田のほうへ向けた。

「俺は、、」

郷太が言うよりも早く、六車が割り込むように続けた。
「三田も甘いものが好きなんですか?

意外ですね。いつもカフェオレだけで、ケーキなど好んで食べる風ではなかったのに。」
「ぁぁ、、そうですね、普段は食べ物は特に選んで食べないというか、、いえ、でも、今のケーキはほんとうに、、」
三田はしどろもどろになって顔が赤くなっていた。