「ほんとうに、美味しいです!」
そう言って味わうように頬張るのは三田だ。
「ぷ、、」

「え?何か、おかしな事言いましたか?」
「唇にクリームが付いてますよ。ほら、そこ。」
「ぁぁ、、」
六車に指摘され、急いで口元におしぼりを当てがった。
「そんなに慌てないで。」
忍者の修行やら、任務の時にはあたしは何の役にも立てない、むしろ足手まといだと感じていた。自分を活かせる場所を探していたのに。。

あたしはふっと笑みが広がるのを感じた。
今は、六車にも三田にも、あたしの作ったケーキが喜ばれているのが感じられるから。
それがほんとうに嬉しかった。
、、、一花の顔が浮かんだ。


「おや?三田、顔が赤いですね、、」
三田は、もう顔全部を拭くくらいの勢いで、眼鏡も外しておしぼりを顔にあてはじめていた。

「いや、もう、ケーキが美味しすぎてですね、、はは、何だか急に暑いですね。」

「おや、、」
あたしには暑がる三田よりも、目を丸めるくらい驚いた様子の六車のほうが、驚きだった。

だけどそこへ、軽やかな鐘の音が響いてきた。