ケーキの箱を一つ開ける。

ふたりは大きく頷いていた。
「ええ、聞きました。みんなにケーキのお裾分けがあると。」
「うわぁ、、美味しそうですねぇ、、」


「もしかして、、
あたしのケーキ、楽しみに待ってくれてたの?」
そういえば、三田はテーブルのミルクを入れずにブラックのままだった。以前はたっぷりとミルク入りのカフェオレを飲んでいたのに。


六車は、、
あたしがこの店にいた時にもケーキを食べているのを見た記憶がない。でも楽しみにしてくれていたということは、甘いものは嫌いじゃないということだろうか?

「私ですか?ええ、ケーキは好きですよ。
お店であなたのケーキが人気になったときは困りましたが、それは理由があったからですしね。でしょ?」
六車に話を振られ、あたしは何処かがちくっとした気がした。

確かに理由はあったけど、、

それはまだ癒えない傷のようだった。


だけどそんな感傷から引き戻してくれたのも六車の声だった。

「んー、、、美味しいですね、、
これは、、これは行列になるのがわかります。ええ。」

あたしの顔にも笑顔が広がった。