途中でタクシーを拾った。
屋敷を出るときにこっそりお金を取ってきた。
裏口から出た、そこに置いてあったのだ。
まるでさっさと出ていけと言っているようだった。

涙がこぼれる。

私が大事にしているものはいつも誰かのものになってしまう。私がなにをしたっていうの?

私が泣いているのを心配そうにミラーから覗いている運転手。

私は気付いていないふりして泣き続けた。