藤堂書店の前まで来て、ここまで来たというのに足が止まる。

スタスタ前を歩く一太を恨めしいとまで思う。


「ねぇ!一太!!置いてかないでよ。」

「おめぇが遅せんだろ。とっととついて来いよ。」


私の言葉に立ち止まった一太の背を追うように駆け出す。

一太に置いて行かれれば、一人で中に入る勇気すら持ち合わせてはいない。

あー、なんて情けなく不出来な心を持っているんだろうと自らを呪った。