「下ろすぞ」
静かに下ろされたのは、保健室に設置されている真っ白なベッドの上。
私の重みにベッドがギシッときしむ。
「待ってろ。風邪薬探すから」
私の前髪をそっと掻き上げた誉くんは、小さな笑みを一つ浮かべて踵を返した。
……なんで、こんなことになってしまったんだろう。
真っ白な空間に二人っきり。
本当ならこの場に愛華ちゃんがいるんだけど、今はいない。
私たちが保健室に来た時はまだいたんだけど、扉を開けてすぐ呼び出しの電話がかかってきて、「あとはよろしくお願いします」と言って颯爽と出て行ってしまった。
愛華ちゃんに任せてすぐに帰ると思っていたからこの状況は私にとって予想外の展開で。
もう、本気で泣きたくなった。


