……なんで、ここに誉くんが? あぁ、そうか。ここ、職員室の前だったんだ。 息苦しさに耐えながらおもむろに視線を上げれば、誉くんの両足の間から見えたのはなじみの職員室の風景で。 なんでこんなときに誉くんと会うんだろうと、自分の運の悪さに腹立たしくなった。 ……誉くんに、会いたくなかったのに。 「華恋、大丈夫か?」 「名前で呼ばないで、下さい……」 「……っ」 名前で、呼ばないで。 その声で、 大好きなその声で、名前を呼ばないで。