「先生、どうしたのー?」 「あ、あぁ……」 「あ、あの二人じゃない?華恋先輩と響先輩」 「あぁ~、あの二人!先生、あの二人すっごく仲の良いカップルなんだよー」 「………」 「二人ともすっごくモテるんだけど、さすがに相手が美男美女すぎて誰も近付けないんだよねー」 「華恋先輩じゃなかったら響先輩にアタックするのに~」 「………」 「先生?どうしたの?」 「……いや」 全然知らなかった。 誉くんが私たちを見ていたことを。 漆黒の瞳が哀しみに揺れ動いていたことを、 私は全然知らなかった。