「お前は今まで何のために勉強してきたんだよ」
「誉く──」
「尊敬するお父さんと同じ弁護士になるためだろ?」
「………」
そうだ。
私は大好きなお父さんと一緒に働きたかった。
そのために誉くんに家庭教師を頼んで必死に勉強してきたんだ。
それは誉くんにも伝えていた。
家庭教師である誉くんに私の目標を知ってて欲しかったから。
「お前が弁護士になりたいと思ってること、俺が一番よく知ってる」
「誉くん……」
「だから、お前とは付き合えない」
「………」
「お前の夢を絶ちたくないんだ。お前が弁護士になることは俺の夢でもあるから」
「……誉くんの、夢?」
「そう。一年間一緒に頑張ってきて、お前の夢は俺の夢になった。だから、お前には頑張って欲しい」
「誉くん……」


