「そう、だよね。誉くん、なりたかった先生にやっとなれたんだもんね。私が傍にいて何かあったらダメだよね」
分かってる。
私が誉くんの妨げになってるってことぐらい。
“教師”と“生徒”
それが誉くんにとって重荷でしかないこと、ちゃんと分かってる。
だけど、どうしても聞きたかったの。
愛華ちゃんと響のことを言ったら考え直してくれるかもしれないって思ったから。
でも、やっぱり無理だった。
「……っ」
私はもう、ただの“立川 華恋”として誉くんに逢えない。
“生徒”の“立川 華恋”でしか逢えない。
そう思ったら涙が止まらなかった。


